2: 加工に必要となる基本的な道具類について
今回は実際に手に入れた木材を加工する際に必要となってくる道具類のご紹介からはじめます。
@ まずは樹木を切り出してお好みの大きさに切るものが必要ですね。 最も単純なものはのこぎりでしょうか? 普通のご家庭には一般的なのこぎりはあると思いますので基本的にはそれで十分でしょう。 ただ太いものは前回にも触れましたようにチェーンソーがないカット出来ないかも知れません。 直径が30cm未満の木材であれば手ノコで大丈夫です。 えさ皿を作ったり隠れ家を作ったりとまず作られるものはわりと小さなものからになるでしょうから小型の鋸があればとりあえずはOKです。 ちなみに私は画像で紹介するようなブラック&デッカー社の振動ノコギリを使うことが多いです。 カワラ材をカットしてズボラセット用の材を作るときに大活躍! 値段も¥8000くらいでどこででも購入できるので皆さんがお住まいの近くにあるホームセンターでも扱っているでしょう。 当方は仕事に使いますからさまざまなタイプのものを所有していますが小型のノコギリではこれがコストパフォーマンスNo.1です。
A 次に用意したいものは穴をあける道具です。 穴を開ける道具には色々な種類のものがありますが、えさ皿を作るにしても隠れ家タイプのものを作るにしても 画像で紹介するような特殊な先端ビットが必要です。 これらのビットもホームセンターで売っていますが特殊鋼で作られており1本あたり¥1500〜します。 普通のものではすぐになまってしまって削れなくなりますのでご注意下さい。 またこのような特殊鋼の製品でもある程度使い込むとなまってきますのであとでご紹介するようなルーターを使って刃を研ぐことが必要となります。(こちらについては後にご紹介します。)
次にこれらのビットの径ですがえさ皿の穴を開けるのであれば30mm、ちょっと大きな30g用の穴であれば34mmビットが必要です。 そのほかに木材に穴を開けてゆくのにそれ以下の20mm台のビットも数本用意してください。 これらのビットを装着する電気ドリルも出来れば2種類用意していただきたいところです。 と言うのも3cm以上の直径の穴を電気ドリルで開ける場合にはかなりトルクの強い低速ドリルでないとなかなかうまく開けられません。
私も画像に示すような2種類のドリルを使い分けていますが右側の高速回転のドリルでも出来ないことはないのですが2ヶ月も使うとおそらく壊れます。 値段が¥5000くらいですから修理するよりも新しい製品を買うほうが安上がりになることも多いので使い捨ての感覚で使っていましてこれで3個目です。 一方、低速ドリルのほうは値段もちょっと高くて¥10,000以上しますが壊れることはまずないので1機あれば一生ものでしょう。 低速ドリルのほうでは3cm以上の直径の穴を開けるときに使っています。 他にはこのような商品を大量に作るのであればボール盤が必要ですがこちらは数十万は間違いなくかかりますので取りあげるのはやめておきます。
先ほどまでに紹介した2つの道具は一般的な家庭には大体揃っているのではないでしょうか? ドリルもそれほど高額ではありませんしちょっと時間のあるときにゆっくりと取り組むことの出来る趣味ですので関心のある方はお揃えになってはいかがでしょう?
基本的な2つの道具である程度の形にはなってきますがこれで出来るか? というとえさ皿くらいでしたら大丈夫ですが隠れ家タイプのものを作ろうとするにはまだまだ他にしなければならない作業が出てきます。 それは何かと言いますと“削り・磨く”という作業です。
飾り物に出来る位のレベルにまでこだわって作ろうとする場合には基本的な形を作って、ここからの作業が最も手のかかるところになります。 皆さんが良くご存知のクラフトウッドタイプの商品は樹皮の部分に加工は施されていませんが内部にはかなり細かく手が入っています。 内部にしても外部にしても満足のゆく仕上がりに持っていこうとするとこれから紹介してゆくような道具類が必要となってきます。
B 削るための道具・・・・この目的で使う道具には大きく分けて2つのタイプの道具が必要になりますが一つ目は“大きく・大まか”に削るための道具です。 画像をご覧下されば分かりますがグラインダー・サンダー類です。 こちらは主に樹皮を削るときと樹木の切断面の角度を変えたりする場合に使います。 グラインダーそのものはどこででも手に入りますが装着するアタッチメントの粗さが色々とありますので目的に応じて入手してください。 分からない場合には“木工用”と書いてあるもので¥800〜¥1200くらいのもので十分間に合います。 この道具を使う場合はおびただしい量の粉塵が発生しますから一般のご家庭では作業がちょっと厳しいかもしれません。 集塵装置があればベストですがプロでもない限りあるはずもないですから天気の良い日に屋外で行ってください。
もうひとつの道具は細かいところを削るための道具、彫刻刀です。 これももっていると色々と使えて便利です。 昔と違って今は“電動彫刻刀”という非常に便利なものもありまして私は東京マック、という世界的にも有名なメーカーのものを愛用しています。 びっくりする人もいるかもしれませんが、軽く刃先を当てるだけでサクサク削れるんです。 当方においでいただいた皆さんはご覧になっているでしょうが倉庫の前にある看板も私が作ったものです。 通常であれば1日はかかる作業がものの1時間くらいで出来てしまうので抜群の効率です。 あとで紹介する電動サンダーと共に作業効率を大幅にUPしてくれています。 ここまでは必要にならないかもしれませんが一応あれば便利ですからご紹介しておきます。
C 磨くための道具・・・・どこを磨くのかによって使うものも違ってきますが最もポピュラーなものはサンドペーパーでしょう。 荒磨きであれば60番〜100番、普通の仕上げであれば180番~240番、つるつるに磨き上げたいのであれば300番以上をお使いになればよろしいでしょう。 順序としては最初に粗めを使い仕上げに細かい番数のものを使えばOKです。 ただケヤキのような堅い樹種を加工する場合には手磨きはものすごく大変な作業となります。 これまで当方で販売しましたケヤキを加工した商品は全て画像でご紹介するような電動サンダーで磨いています。 これは必要ではないかも知れませんが手で作業する場合と比べると10倍以上の効率アップになります。 ある程度の数を作る場合には欠かせない道具となってきます。
次に磨く道具と言えば“ルーター”でしょうか・・・これは削るときにも使えますが回転数やトルクにより値段も¥5000〜¥50,000くらいまで色々とあります。 私は穴の内部を細かく削るときにこれに特殊鋼のビットを装着して使用したり特殊鋼で出来たビットの刃先を磨くときにダイアモンドやタングステンカーバイトのビットで砥いでいます。
このあとに画像で紹介しますが見たら“ああ、これか”と分かる人もいらっしゃると思います。
最後はおまけですが、“手袋”。 右利きの人は左手だけに、左利きの人は反対になりますが皮で作られた厚手のものを用意してください。 作業の中で電動ドリルを持って作業をすることが出てくるのですが手が滑ってビットが手に当たることが結構あります。 慎重にしても必ず出てきますので手袋は必ず着用して作業を行ってください。 特殊鋼で出来たビットは恐ろしく強力です。 人のやわらかい手くらいなら余裕で穴を開けます。 私も手袋をはめていても怪我をしたことがありますので必ず着用してくださいね! それに防塵マスクですね。 削り作業の時にはこれをしていないととんでもないことになります。 出来れば防塵メガネもあったほうが良いでしょう。
基本的にはこれまでに御紹介してきたような道具類が揃って初めてある程度の作品が作れます。 あまり細かなところまでは紹介していませんが上で触れていない部分で他に必要になってくるのは色々なビットでしょう。 特殊鋼で作られたものが持ちの点では一番ですのでそこまで求められる方はインターネットで“オフコーポレーション(静岡)”さんあたりで探されるとよろしいでしょう。 次回は実際の作業工程を画像を交えてご紹介してゆきます。