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 飼育の“いろは”・・・店主の見解

 この仕事を始めて10年、専業になって4年がたちました。  これまでいろいろなお客様と接し、経験と知識を積み重ねようやくここ数年はコンスタントに結果も出るようになりました。  すでにクワガタ飼育もブームと言うよりも趣味の一つとして定着し人それぞれの楽しみ方で飼育するスタイルが主流になりました。 飼育暦も10年を超えるベテランの方もいれば、まだ1,2年の方もいらっしゃるわけです。
 今回は店主がお客様に尋ねられることの多い質問について店主の経験を踏まえた上での意見をご紹介します。
 先に触れておきますがこれから書く内容はあくまでも私の経験から判断している一つの見解で生き物相手の事でもありますし絶対的ではないことをご理解下さい。 世の中には愛好家の方は大勢いらっしゃいますし毎年素晴らしい実績を出し続けている方もおられます。  私は実績を複数持つ愛好家の方々からは必ず学ぶべきポイントがいくつもあると思いますので決して現状に満足することなく工夫を続けています。 こちらをご覧になる皆様も“実績ある人の一つの意見”として飼育の参考にしてくだされば幸いです。
       
1. 産卵・採卵の時期はいつがBESTか?
 この質問は非常に多くの皆さんに尋ねられます。 最近は温度管理がきっちりと出来る人も増えましたので、“エアコンなどで温度管理がきっちり出来るのであれば国産オオクワガタであってもブリードの時期は結果とは無関係” とお答えしています。 これまでにも度々店主のボヤキコーナーや超阿古ニュースでも触れておりますように、私のブリードは夏の終わりから真冬にかけてが最盛期で通年ブリードをしております。 場所を効率的に使いたいこともありますし、菌床の質が冬が安定しているからです。 今年(2006年・5月末)誕生した82,7ミリは9月初旬に割り出しをして成虫になっていますし先月生まれた75mmで頭幅が28ミリあるオオクワガタの成虫も2月ブリードでスタートしたものです。
 ブリードにおいて大切なのはメスを十分に成熟させた後に交配・採卵を行うことではないでしょうか?
これまでの私のブリードの開始時期とそれからの結果を理論的に説明しようとすると春・夏ブリードでなければならない、と言う一般論は否定せざるをえません。 人により“結果”ということばの持つ意味は大きく異なるでしょうが、私のところではどの時期にブリードをしても結果として80ミリを超えるオオクワガタならびに中国HOPEIの成虫がこれまでに2桁誕生しています。  結果を求める際に大切なのはこれまでに上級者講座でもご紹介しましたように“血統とエサと管理技術”です。 ブリード開始の時期は温度管理をする場合には無関係です。
 常温管理の下で飼育される場合には6月〜7月ブリードがベストでしょう。 秋から冬にかけては気温も下がることが多いので産卵に適した温度まで上昇しないことのほうが多いでしょうし、3月〜4月では気温にムラがありますから失敗することも出てくるでしょう。

2. 幼虫飼育で最も大切な時期はいつか?
 ある程度飼育経験がある人であれば誰にでも分かっていただける実例をあげて説明しますと、3令初期までマットで飼育してその後菌床に投入して成虫まで飼育を続けるグループとその逆順で飼育するグループを作り飼育すれば誰のところでも同じような結果になるでしょう。 もちろんですがこのグループ分けする幼虫たちは同じメスから生まれた兄弟・姉妹であることが前提条件です。
 結果は当然のことながら後者のほうが前者を平均値で上回ります。 私の意見では大切なのは3令の中期まで、その中でも初令のとき、さらに特に大きなオス幼虫においては3令後期も大切です。
 現在私はドルクス系統のブリードは全てズボラセットSPもしくはミニSPからスタートしています。 今年誕生した82,7mmは9ヵ月半、75ミリクラスで7ヶ月かからずに生まれてきています。 なぜそのようにしているのか? の理由がAの質問について私の出している意見・結論です。  これ以上の細かな内容については企業秘密に関することが含まれていますので公開できませんし、お尋ねいただいても返答しかねます。  王道飼育の細部についても同じですのでご了承下さい。

3. 飼育の途中で菌床の銘柄を変えても大丈夫?
 もちろん大丈夫です。 ただしヒラタクワガタ系統の中には敏感な種類も多いですから作られてから時間のたっているボトルもしくはビンに入れ替えてください。  またカワラ茸しか飼育に向かない種類の幼虫はヒラタケ系統の菌床には入れ替えないで下さい。
 ヒラタケ系統(オオヒラ含む)の菌床であれば互換性はありますが出来の良し悪しもあれば品質の優劣もあります。  結果を求めるのであれば製品をいろいろと比較しながらデータを残してご自身にあうもの好みの製品を見つけて下さい。

4. クワガタの産卵・飼育する温度帯は種類によって違うの?
 かなり異なります。 最も一般的なオオクワガタの種類については25〜27度が産卵には最適な温度帯ですし、カブト虫は種類によって異なります。 皆さんが飼育する機会のありそうな虫について下にまとめておきますのでご参考にどうぞ。

種類 産卵・幼虫の飼育温度帯 成虫飼育の温度帯
オオクワガタ・HOPEI 24〜27度 10〜27度
ヒラタクワガタ 24〜27度 18〜27度
ヘラクレス 22〜25度 20〜25度
サタン・ネプチューン 17〜22度 18〜25度
国産ミヤマクワガタ 20〜25度 16〜23度
ジュダイクス・アクベシアヌス 16〜21度 15〜21度

  上の最適温度帯の一覧表からも分かるように私たちの暮らす日本では冬にあたる11月〜3月と夏の7月〜9月までの期間は気温が最適温度帯を外れてきますので国産オオクワガタのようなタフな種類は別としてどうしても温度管理が必要となります。 外国産のクワガタムシやカブトムシについては15度以下、27度以上にならないように何らかの方法を用いて温度調整をすべきでしょう。 ちなみにエアコンを用いての温度管理が最もポピュラーですがおおよその目安ですが冬は夏の3倍くらいの電気代がかかります。  飼育数が少ないのであれば温度管理には市販の“冷やし虫家”が最適でしょう。
私の計算では1台あたりの電気代は1ヶ月あたり¥1000かかりません。 冬期などは500Wヒーターを稼動させて飼育した場合の電気代は20%程度で済むでしょう。
 温度管理については飼育を楽しむ皆さんの出来る範囲で行っていただければよろしいのではないでしょうか? [ 結果を求めるのであれば常温管理では無理があることをお知りおき下さい。]

5. 最も飼育しやすい種類は?
 常温管理でも飼育が出来るのは国産オオクワガタです。 上手に飼育すれば2,3年は飼育可能です。 ある程度の広さのある飼育ケース[中ケース・B5くらいの底面積です]を用いて乾燥しないように気をつけて直射日光の当たらない場所で飼育してくだされば小学校の低学年からでも十分楽しんでいただけます。
 飼育が簡単ではあるものの最も奥が深いのが国産オオクワガタ飼育です。 “奥が深い”という部分については飼育経験を重ねるうちに分かってくることですが気になる皆さんは“上級者講座”のほうを御一読下さい。

  他にもまだたくさんのQ&Aがあるものと思われますが今回は特に代表的なものについてまとめてみました。  また折を見て追加しますが飼育を楽しむ皆さんの参考にお役立て下さい。

 
  =番外編=
 個人差はありますが趣味で行うのであれば個人で飼育するクワガタ・カブトムシの幼虫と成虫の数はだいたいですが300匹が上限のようです。 この数字はお客様からの声を聞いて出てきた数字で私のように仕事として行っている人の数字ではありませんが仕事でやるにしても数を増やすとどうしても目が行き届かなくなり管理も雑になります。 一般の愛好家の皆さんにも当然スペース・予算などの幅がありますが、250〜300が手の届く限界(きっちりと管理できる限界)のようです。 これくらいの数になると年間の管理・飼育費用も30万〜50万円はかかります。 飼育方法や管理により差は出てきますが幼虫1匹を成虫にするまでに¥2000くらいはかかるものと思ってやられるとよろしいかと思います。
無理せず長く楽しく飼育を続けてください。