トップ > 菌床飼育講座入門編

 ビギナーのための飼育講座

 ここ1,2年虫キングの影響でしょうか? それとも厳しい情勢で廃業される同業者が多いためでしょうか? 理由はよくわかりませんが飼育を始める方が増えたように思います。 それに伴いまして菌床の選び方・使い方についての質問をいただくことが増えました。 電話で説明すると早いのですがメールですと返答に時間がかかりますし詳しいところまで説明できません。 おそらく飼育経験の浅い方々はわからないことだらけでしょうから今回は新たに飼育を始められた皆さん、さらには経験の浅い方々を対象にしまして久しぶりに初心者講座にて当方で販売しております様々なタイプの商品を用いましてどのように使い分けて飼育を進めてゆくかを説明します。
 クワガタムシの飼育に用いる餌には他にマットと材がありますがこちらについては触れませんのであらかじめご了承下さい。 材飼育につきましては上級者講座−5に詳細がありますからそちらを参考にご覧下さい。
 さてまずセットを組んで割り出しをして幼虫が出てくるわけですが、私の場合にはすぐに菌床に入れません。 3〜5日はマットに入れて様子を見ます。 なぜそうするかと言いますと割り出しのときにチョッとでも傷ついた幼虫はそのときにはわからなくても2,3日で死んでしまいますし、材の中に入っているときにも弱っているものもあるからです。 後から詳しく説明しますが、私の場合マットにて3,4日様子を見た後で2令中期までにUM200もしくはKBM800ppに投入します。 こうすることでロスを少しでも少なく出来るからです。 さて次からはご覧になる皆さんにわかりやすいように図を用いて説明を加えてゆきます。
 詳しい説明に入る前にこれから紹介する飼育パターンは温度管理をきっちりと行う、という条件の下での話です。 夏場・冬場を常温で飼育した場合には大幅なズレ・狂いが発生しますのでその点だけはご了承下さい。 (管理温度は最初が25〜27度で3令中期から24度くらいです。) 

1. UM200CUP ⇒ 初令で投入後25〜35日で交換(交換時には2令後期が望ましい)⇒ KBM800へ
2. SM600ビン  ⇒ 初令投入後60日前後で入替、このとき3令中期あたり。 ♀はSM1000 ♂はSM2000へ投入 (ガラス瓶タイプの使用は主に温度管理が出来ない方へ勧めます)
3. KBM800PP ⇒ 初〜2令で投入、60〜85日で交換、入替時には3令の中期すぎなので♀はKBM。
   もしくはBB800へ、(コスト削減の場合にはマットへ)。 オスはBM1400PP、もしくは手詰めの1,4〜3Lボトルへ
4. 手詰めで作るオリジナルボトル、もしくはビンタイプ

 最初に割り出した幼虫を投入する餌は上のように4つのパターンが考えられますが飼育コストを下げたいのであればCのブロックを崩してご自身オリジナルの餌を作ると最も経済的です。 ですが菌床の詰め作業をするには細心の注意が必要です。 特に湿度の高い6月から10月の中旬までは北海道にお住まいの方は例外としまして次に示すような条件の下で作業を行ってください。 毎年非常に多くの方々が殺菌、もしくは除菌・除湿が徹底していないことが原因でカビをはびこらせていらっしゃいます。  特に添加剤を多めに混合してえさ作りをされるのであれば環境をしっかりと整えた上でえさ作りを行ってください。 ちなみに私が作業をする部屋では通年湿度は55%以下で温度は22度以上26度以下です。 また詰め終わったボトルやビンには扇風機2台で風を送り、 除湿機とエアコンで湿度と温度をコントロールしています。 この方法でここ1年はほとんどカビの事故は発生していません。

                  ブロックを崩して作業を行う時の注意点

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必ずエアコンで温度と湿度を適切な温度にした場所で作業を行うこと。 適切な湿度は30%〜60%、温度は22度から26度 です。 湿度が低ければ温度は27,8度でも大丈夫です。 冬季には温度が低すぎると菌が回りませんし夏季には常温の元での作業はカビを増やす作業にもなりかねません。 くれぐれもご注意下さい。 特に添加剤を入れる場合には絶対です。 


まず作業をする前にエアコンの吸気口のフィルター部分にエタノールを希釈したものを霧吹きでかけて除菌してください。 次にブロックを崩す道具と詰める道具、さらには手をきれいにしてください。


詰め終わったボトルやガラス瓶はくっつけて保管しないで下さい。 必要以上に発熱し雑菌がはびこります。 必ず1本1本間をあけて扇風機で風を当ててください。 (管理温度は23から26度です。)


当方のブロックには該当しませんが、値段の安いものでヒラタケ系の原菌でなく3次培養したようなものを使っている製品もあります。 このような菌で培養したブロックは菌の回りが弱くカビがすぐに生えてきますので大きく立派な虫を作りたいのであればお使いになっても効果は見込めません。 ♀用に使う分にはいいかもしれませんがオス幼虫に使用するのはおすすめしません。 またそのようなブロックに添加剤を入れると菌が活性化しないためにカビがはびこります。 これにつきましてもご注意下さい。

 
  上に示した条件の下で作業を行っていただいた場合よほど添加剤の割合を高くしない限りカビは生えません。
  また当方で販売しております添加剤では麦芽以外は殺菌不要です。 麦芽の殺菌作業は大変です・・・・
 
    さて話を飼育のほうに戻しまして、ここ最近のお客様の傾向をお話しますと70%以上の皆さんが最初(1本目)にUM200、もしくはKBM800PPをお使いになり、残りの20%の方がブロックを崩して詰められ、残りの6%ちょっとの方々がガラス瓶タイプを使われています。 どの方法をお選びいただくかはご自由ですが、データからすると最初は一次発菌のKBMボトルの成績が群を抜いています。 他社製品と比較していただけばその効果はお分かりいただけるでしょうからここでは触れませんが、ブロックを崩し、スーパーモンスターとミネラルパウダー、さらにトレハなどを入れてオリジナルのボトルを作っても同じくらいのコストがかかりますので時間のない方々がそちらを選ばれていることが大きな理由でしょう。 飼育経験の浅い方はKBMボトルから入ると後も楽ですし結果も期待できるものになるはずですのでそちらを勧めておきます。 問題は2本目、3本目からでしょうが、メスの2本目は手作りで堅詰めしたものを使えば2本で羽化まで持ってゆけます。 またKBMからの2本目であればコストを落とすためにマット飼育に切り替えてもらっても43ミリ以上のメスが生まれます。メスの幼虫にとっては1本目が勝負!  最初に美味しい食べ物をあげておけば立派な大人になるんです。 一方オスの2本目は“つなぎ”の役目を果たしますから栄養価の高いBM1400で2〜3ヶ月飼育していただくのがBESTです。  血統の良い虫の幼虫であれば26g以上が沢山出てくるでしょう。 ♂幼虫の3本目は“仕上げ”の重要な意味を持ちます。 ここで使うべきボトルは市販品ではもちの点で劣りますのでご自身の手詰めが最良でしょう。 栄養価の高い添加剤を入れる必要はありません。 むしろいかに幼虫にとって居心地の良い長持ちする餌、というか環境を作るか、がポイントでしょう。 当方ではオーダーボトルで対応していますが、たいていの場合にはTIPブロックにブナの微粒子と生オガコを殺菌・乾燥したものとミネラルパウダーを入れて器具を使ってカチカチに詰めます。 ブロックの組み合わせとしては他にもブナの中粒子を主体に作るものも多いです。 3本目は皆さん自身でおつくりになるといろいろなことがわかりますから是非やっていただきたいところです。
   3本目を作るときに心がけることはとにかく“もち”を良くすること、そのために堅く詰めたり、ボトルを紙で巻いたり高栄養の添加剤を入れなかったり、生オガコをいれたり・・さまざまな工夫が出来ます。  これもちょっと宣伝・余談になるのですが超大型の幼虫が出てきたら一度当方の3Lスペシャルボトルを使ってみてください。 値段は安くないですが、考えられる工夫はすべて取り入れて作ってある3層構造のボトルです。 今までの2層構造のボトルでも14ヶ月もったことがありますが、使い方によってはそれ以上もつでしょう。
 
     さて今までに書いてきたもので大体の飼育の流れはお分かりいただけたでしょうか?  どのような餌(菌床)をどのステージで使えばよいか、についてはわかっていただけたでしょう。 飼育を進めてゆくと餌にもまして飼育する虫の“血統”、それに温度管理・環境管理が大切であることはわかってくることと思いますがこのあたりにつきましては中級者講座・上級者講座にて詳細に書いてありますからご覧下さい。  他によく質問を受ける内容としては飼育に用いるブロックの樹種・粒子の粗さがあります。 当方ではお客様のニーズに応えられるようにほぼ全種類販売しておりますが、最初に初令幼虫を投入する餌の粒子は細かくて水分含有率も55%はあるほうがいいでしょう。 荒めの粒子が好きな人も大勢いらっしゃるわけですが最初からそれを使うとサイズが伸びません。(太くもなりません。) また乾燥気味の菌床も最初に使用するえさとしては不適合です。 ステージ後半、つまり3令の後期幼虫に用いるのであればOKです。 
     
 私の最近の飼育パターンを紹介しますと最初にUM200もしくはKBM800に投入しまして次に♀は同じくKBM800、オスはBM1400へ投入、そしてそのときに頭の幅が13mm.くらいありそうな♂幼虫のみ3Lに入れて2本で羽化を狙います。 このときにチェックするのは幼虫の重さではなく“幅・頭と体”のほうです。 勿論重さも26gくらいにはなっています。 それ以外ものは2本目、3本目どちらもBM1400を使っています。 3本目への入替時に特大サイズに成長したものをまた1,4Lの手詰めボトルに入れるか3Lスペシャルに入れるかの選択をしまして投入しています。 これまで10匹以上の80mmオーバーを作りましたが、やはり大台を超えた虫の最後のボトルは1,4Lの堅詰めボトル、あるいは3Lボトルでした。 今年も大安系統で4匹の80オーバーが誕生しましたがそのうち2匹が3Lから1匹は1,4L手詰めボトル、もう1匹はBM1400でした。 参考までに・・・自分の使う手詰めボトルはブナの中粒子を主体に詰めています。  私自身最初から自分の使うボトルを手詰めで作る時間的余裕がありませんので自分が使って結果を出すためにもUM200とKBM800を作っているのです。 参考までに2005年9月20日のブリードルームの一部を撮影したものを紹介します。 また
昨年度から今年にかけて生まれている成虫ではちょうど現在販売しております名古屋のMさんの超阿古谷系統の成虫がすべて上のパターンで誕生しています。 血統的な背景はさることながら70ミリ以下の虫は2%以下で血統によってはオスの平均サイズが76mmを超える系統もあります。(E血統の1つのラインとSG系統とおうち家・B血統のNO.1ラインの3つの系統です。)

これまで説明しました菌床飼育パターンはいわゆる“黒虫”の中でも中国HOPEIと国産オオクワガタを対象にして書いております。 他にも菌床飼育はノコギリクワガタ系統・ヒラタクワガタ系統にも合いますが、違いとしては♂幼虫に必要な本数が変わります。 またヒラタクワガタ系統の飼育には活性のある菌は不向きですのでどちらかといえば弱い菌(作ってから期間がたっているボトル・ビン、あるいは使い古しの菌床)が望ましいです。 特にダイオウヒラタとパラワンヒラタは弱いですから菌床飼育当初はドルクス系統から始められるほうが無難です。

    いたらぬ点も多々ありますが飼育を始められた皆さんの参考にしていただければ幸いです。
   
                           平成17年9月20日        クワガタのおうち家   店主

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