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 上級者講座 第5講  材飼育のすすめ

 ここ数年クワガタ飼育は菌床飼育が主流で、それまでの主流であったマット飼育・材飼育は一部のマット飼育のほうが大型をねらえる種類やマット飼育が飼育に向いている種を除き行われていないようです。
 今回は材飼育をテーマに取り上げて話を進めてゆきます。 飼育歴が10年くらいある皆さんには懐かしい響きもあるでしょう。  数ある飼育方法のなかでは最も簡単に見えて難しい飼育法で、今の菌床飼育が主流の流れの中では材飼育に使用する材(カワラ材)も程度の良いものを作ろうとすると年数と広い場所が必要である上に作っても売れない為にほとんど作られなくなってしまいました。 材採集の経験をお持ちの皆さんにはご理解いただけるでしょうが、程度の良い天然のカワラ材であれば70ミリを超えるオオクワガタも生まれてきます。  当方は元々がカワラ材の販売から業務を始めていることをご存知の方は少ないと思いますが、アンタエウスが高額で取引されていた5年以上前にはヤナギのカワラ材が産卵材として非常に好ましいので琵琶湖畔のカワラ材をかき集めて全国のショップに販売しました。 中には直径60cmくらいの材などもあって運ぶのに苦労した想い出が残っております。

 さて話題を戻しまして、当方では現在もエノキ・カシなどのカワラ材を販売しておりますし、店主自身も手をかけて飼育する大切な虫の産卵には全てエノキのカワラ材を使っています。  さすがに材飼育は5匹くらいしか行っていませんが、それでも“美しく長生きする虫”を作りたい、との思いから細々と続けています。
 今回材飼育を紹介しようという企画を思い立ったきっかけは最近の飼育の流れに一見反しているように見えて実は合っている飼育方法であると思ったからです。
 ここ数年で飼育される方の環境もかなり整備され、また技術も向上し、虫の値段も落ち着きました。 さらに飼育されている愛好家の皆さんのある程度の割合の方々は自分のお気に入りの種類、あるいは血統に絞って飼育を続けられる傾向があるようです。 そして愛好家の皆さんの飼育環境・飼育技術の向上によりその結果として生まれてくる虫達も素晴らしい個体が格段に増えました。  以前にも“ボヤキ”のほうで触れたことがありますが数を絞り込んですぐれた血統を良好な環境と餌で飼育される一般の愛好家の皆さんのほうが他頭数をちょっと雑にもなりがちな飼育環境で飼育するいわゆる“プロ”と比べて明らかに好結果を出されています。 (かくいう店主もこのところ80mmUPを作出できていません。)
 上で書いたような腕前を上げた愛好家の皆さんにお薦めしたい飼育方法がずばり“材飼育”なのです。
材飼育の醍醐味を一言で表現すると“生まれてくる虫の美しさ”にあります。 大きさを出すには菌床飼育が一番の近道であることに異論をはさむつもりはありません。 ただ菌床飼育では出てこない美しさを材飼育では出せるのです。 おる程度の血統であれば材飼育でも73oくらいまでは充分出ます。 場所を取るのが難点ですが1年くらいは放置したままで置いておけると言うメリットもあります。 つぎからサンプル画像をご覧いただきながら材飼育の飼育方法を説明します。

 その@
まずお気に入りの虫(血統)の幼虫を2令初期までマットで育てます。(割り出しを行った時に2令であればここは省略) 2令初期の段階では頭の大きさと体長との比率から♂・♀の判別が可能となります。 この判別は飼育経験がある方であれば分かるでしょう。  そこでなるべく頭の大きな♂をピックアップして下の画像―1で紹介するような細目のカワラ材にドリルで小さな穴をあけて投入します。

 投入するカワラ材は必ず他に雑虫の入っていないものを御利用ください。 天然のカワラ材を使う場合には念のため1年は置いたものをお使いいただくほうがよろしいかと思います。 事故がおきても当方は責任は負いません。 また最近販売されているホダ木に植菌したタイプのタランドスとかオウゴンオニの産卵材は不向きですので材飼育には使えません。
 上の画像で紹介したような材ですと3ヶ月前後でラストの太目のカワラ材に投入できる3令初期に加齢しますので次に示す方法で保管/管理を行ってください。

@ 幼虫を投入したカワラ材を置く為の小さなコンテナを用意します。
A そのコンテナに2cm程度の川砂利・川砂を加水して敷き詰めます。(これらの材料はホームセンターで入手できますが海砂・海砂利はダメですのでそれだけを確認してください。)
B 砂利とか砂を敷いたコンテナの上に材を置きます。 ある程度の大きさのコンテナを使うようでしたら1個のコンテナに2、3本は入るでしょう。 (25、6度のブリードルームで管理する場合、乾燥するようでしたら新聞紙を2、3枚ぬらして一緒に中に入れてください。)
※ 材をマットに埋めるやり方は間違った材飼育の方法です。 材が早くだめになりますので特にラスト交換で幼虫を入れる材はマットで埋めないで下さい。

 保管状況によりますが、3〜5ヶ月で3令に加齢しているので一般的な材割方法で幼虫を取り出して画像―2で紹介する程度の大きさのカワラ材(エノキ・カシ・ケヤキ)に幼虫を移し替え、上で提案した方法で管理します。

 今度は材が大きくなりますので50L程度のコンテナ、もしくは衣装ケースが必要になります。 これらの入れ物で管理するのでしたら屋外に置いても雑虫の入る可能性はありませんので3〜5個くらいであれば一般の愛好家の方でも充分に楽しめるでしょう。 上のような太目の材に入れて1年もするとほぼ成虫で割り出すことが出来ます。  が・・・最も注意していただきたいのが最後の割り出しです。 材の表面近くに蛹室を作ることが多いですから耳をあててゆすると分かることもありますが全く分からないことも出てくるでしょう。 そのような時は材の端っこにノミを当てて金槌でたたきます。 そうすれば材の弱い部分のところに向かって亀裂が走ります。 亀裂が走っているところは幼虫が食べたところであるか蛹室があって材が部分的にもろくなっています。 うまく亀裂が入らないときには場所を変えもう一度TRYして下さい。 亀裂が入れば楽に取り出せると思います。 材の中心部分は絶対にたたかないで下さいね! 端から攻めてください。
 加温した環境で管理する場合にはもっと早く取り出せますが常温で管理する場合にはおおむね12〜15ヶ月で割り出しの時期になります。 割り出しが遅れる(4、5ヶ月)ことはあっても虫が死ぬことはまずありません。 むしろ焦って早めに割り出さないようにご注意ください。
 また割り出し後の材、これが実は最高の産卵材となります。 絶対に捨てずに残しておいて下さい。
最後になりますが材飼育は主に国産オオクワガタ・中国HOPEIなどを中心に行う際にはエノキ・カシのカワラ材が最適ですが一部の外国産クワガタで材飼育が適合する種類もいます。 例えばキクロマトス系統を材飼育で大型をねらうにはクヌギの霊芝材のような柔らかめの材がよろしいようです。

“工夫をこらした飼育” これが当方が愛好家の皆さんに提唱しつづけるテーマです。
大きさと太さを狙う菌床・添加剤飼育に加えて美しさを追求する“材飼育”、これも非常に奥の深い飼育法です。是非TRYして下さい。
 また今回紹介しました材飼育に使用するカワラ材は当方で販売しております。 植菌もので2年以上経過したものを¥1000〜¥8000でお譲りしています。 現在扱っているのはエノキ・カシのカワラ材とクヌギの霊芝材です。 クヌギ・ならの在庫はございません。

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