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 上級者講座 第4講  上級者への道

前回からかなり時間が空きましたね。  この頃は皆さんかなり飼育の腕が上達してもはや参考になるようなこともあまりないような気もしていますが、今年は新たに飼育を始められる方もいらっしゃいますので、上達の為の基本をもう一度押さえておく意味もあり、書く事にしました。

 これまでにまとめた内容から、飼育歴のある程度ある方はそれぞれの方についてのポイントは分かっていらっしゃることでしょう。 ある程度の実績・結果を出されている方には必要はないかもしれませんが、総集編ということでご覧下さればよろしいかと思います。

 基本的に大切なポイントは3つあります。  1つ目は飼育環境・2つ目が血統・3つ目が餌です。 この3つのポイントはどれも欠かせないものですが、まず飼育歴の浅い方々に整えていただきたいのは1つ目の環境です。 温度管理ができるのと出来ないのとでは結果が大きく異なります。 また利便性にも大きな差が出てきますので、夏と冬の温度管理をできるだけ行っていただきたいものです。 しかし飼育される皆さんそれぞれには様々な事情もあるでしょうから押し付けることはいたしません。 冬場には温室+ヒーター・・・この設備はすでにかなり普及しております。 価格も決して高くはありませんから皆さんの自由になるお金で買える金額ですのでお持ちでない方は是非この時期からそろえていただきたいと思います。 一般的にはホームセンターでセット販売されていますのでお近くでお買い求めになられればよろしいでしょう。 値段はだいたい¥35,000〜¥70,000くらいで揃えられるでしょうか? ガラス温室にヒーターと温度を管理する為のサーモスタットがセットで販売されているはずです。 できれば空気を循環させるファンも付けて下さい。

 問題は夏ですね、今では温室用のクーラーも販売されていますが、まず常温で飼育するには無理があることは知っておいていただきたいです。 クワガタムシは低温には結構強いものが多いのですが、高温には弱いものが多いのです。 真夏の室内気温は35度くらいにはなるものですが、ここまで上がると赤信号です。 成虫にも幼虫にも最悪の事態も起こってくる温度ですのでこの状態をいかに回避するのかが大きな問題です。 個人的に言えば飼育する部屋にクーラーをつけて25度くらいにする方法がベストだと思います。 温室用のクーラーを設置するくらいなら一般家庭用のクーラーも変わりません。 電気代もそれほどの差異は出てこないのです。 電気代がかかるのは冬です。 これも知らない方もいらっしゃるかもしれませんのでお知らせしておきます。 ちなみに私のところの電気代は夏は¥40,000程度ですが、冬には¥100,000にはなります。 使っているクーラーは4台です。  これをどう考えるか? でしょうが、温室用のクーラーを使うのであれば他にも転用もきく一般のクーラーのほうがいいのではないでしょうか?  しかしいろいろな住宅事情もあるでしょうからこれも全ての人がそうできるとは限らないのですが出来ないのであれば扇風機を常時あてておく事。 そして幼虫の入っている菌床は発泡スチロールの箱をいくつか用意してその中に保冷材と温度計を用意して差し込んで温度を下げる方法がいいでしょう。 かさばりますが大きな箱を使えば4箱くらいで70本くらいは入ります。 保冷材は2日に一度交換すれば大丈夫です。 この方法には菌床に光が当たらないので劣化しにくいというもう一つの利点もあります。 クーラー設置の不可能な方にお薦めします。

 当方での統計をここで紹介しますと、飼育歴の長い人のほぼ90%がきっちりと温度管理をされています。飼育を重ねるうちにどうしてもそうしないことには良好な結果が出てこないことを体験されてそうされているのです。  
 さらに温度管理をクーラーを設置して行っていらっしゃるのでしたらついでに除湿機も設置されてはいかがでしょうか? 特にブリードルームの中で菌床の詰め作業をされる方にはお薦めします。 1年を通してベストの湿度は50%くらいだと思います。 菌床の作業時には湿度は40%くらいであれば菌も早くまわりますし、多少温度が高くても(27、8度)カビは出てきません。 当方でも昨年からプラズマクラスターのついた除湿機を稼動して作業をしていますが導入後はカビが出たことはありません。 エアコンだけの時は結構添加剤を入れるとカビも出たことがありました(1年に最低でも3回はありました。) これがゼロになったのですから効果はかなりのものです。 あとで餌の部分でも書きますが、立派な個体を作ろうとするときには菌床に工夫を凝らすことが不可欠です。 そのためにも御一考いただきたいものです。

 次に“血統”です。  このお話はこれまでにかなり書いてきました。 たかが“虫”なのですが、血統は明確に存在するでしょう。 世間で名前の通っているものにはそれぞれの特徴があります。 他所様のことはかけませんので当方の血統で説明しますと、広東省・N血統であれば75mmクラスは飼育1年目の人でも出せます。 大安の各系統では70mm以下の虫なんてほとんど出て来ません。 MMP系統に至ってはあごの太さが5、6mm以下のオスがいないです。 他には超阿古谷でしょうか・・・これは私の見出した血統ではありませんが、飼育経験のある人で知らないひとはいないでしょう。 当方にて飼育しているアリスターさんからの各系統も70mm以下はまずいません。 誕生率は2%もないです。 ほとんどが73ミリ以上の特徴ある個体ばかりですし今年の結果も超阿古コーナーで紹介させていただいたように80mmオーバーも4匹誕生しました。  血統的背景のきっちりしたもの、ある程度固定されているものをブリードすると同じような結果が出てきます。 確かにえさと環境で2、3ミリは変わるのかも知れませんが、大きさは多少変わってもその血統の持っている“風格”は失わないものです。 この“風格”は見る目がある人には分かると思いますが、数を見ていくうちに分かりますので経験を積んで養ってください。  そういう意味で当方がよくお客様にお話するのは、“親・兄弟を見せてもらって説明をきっちりと聞いて成虫で購入してください。” こうお話します。 特に値段の高い虫ほど成虫で購入するほうが間違いがありません。  また名前のついた血統であれば成虫からブリードした場合に必ずその血統の名前にふさわしい個体が少なくとも数匹は誕生します。 本物の“血”はウソをつきません。 例えば超阿古谷の各血統であれば75o以上の立派な個体が複数誕生するはずです。 血とはそういうものです。  中には痛い思い・嫌な思いを経験した方もおいででしょうが、想像するにそのような経験をしている方の大多数が幼虫で購入していらっしゃるのではないでしょうか?  当方でもそのあたりには大変気を使います。 ですから幼虫で販売するのは血統がきっちりと分かっている、確立された系統の幼虫、もしくは全く未知のWF1の幼虫です。 
 話を戻しますが、“血統的背景の優れた虫”を一つは飼育してください。 特に飼育できる数に限界のある一般愛好家の方でスペース・予算にも制限が加わってくる方にはワイルド個体はあまりお薦めしません。 すばらしい固体が誕生する確率は5%もないからです。 ご自身の採集された国産の虫についてはその限りではありません。 当方のように仕事でやる場合は別として飼育される皆さんは趣味でやられているはずですので、何のためにするのか?という目的意識があるでしょう。  くつろぎ・やすらぎ・現実逃避・同じ趣味を持った人たちとの交流・・・・様々な目的がクワガタ飼育の中にあるわけですが、結果的には“満足感”を得ていただきたいからです。 
 なお血統的背景を見極める方法論については中級者講座の中で触れていますのでそちらをご覧下さい。 私は当方で生産・販売しておりますKB800ppを使って1本目で23g以上の平均値が出てこない虫は、特に中国ホーペは全て飼育継続ラインからはずします。 現在の平均値は24,5gの虫を飼育しております。
これはあくまで私のやり方ですのでご参考までに・・・・ 

 最後に“餌”ですね。 ここは当方の得意分野ですので話も弾みます。 当方から菌床を購入していただいた経験のある方には納品書に“工夫をこらして下さいね!”と私が書いた人がそれこそ100人以上いるでしょう。 日頃からお客様にはメッセージを何かしら書いてお届けしますが、私が言いたいのはそこなんです!
 市販の製品にはどうしても様々な制限・限界があります。 当方の商品にしましても販売する以上無難なところでまとめて製品化し、販売しています。 無茶が出来ないですし、コストもかけられない。 いいものをつくろうとするとどうしても手間隙かかりますからお金もかかります。 そこを消費者であるお客様の判断と工夫でより良いものに作り変えていただきたいわけです。  確かにスーパーモンスターとミネラルパウダーを使っていただくと“明確な違い”が出るはずです。 これを最初から当方でやると面白くないんです。 便利かもしれませんが、値段も高額になりますから手が出ない人も出てくると思います。 そこである程度の高い完成度の商品をそろえてそれよりも上をねらう人には更に工夫をしていただいてより良いものをつくっていただければ・・・・ との思いから様々な添加剤・菌床を用意してお届けしているわけです。 特にオスの幼虫の3本目に使う菌床で大きく違いが出てくるのはすでに分かっていただけているでしょうからそのあたりをお客様の手に委ねて最高傑作を作っていただければ・・・これが私の思いですね。  結果は毎年お客様の幼虫自慢コーナー、ならびに80mmUP作出者のコーナーにて紹介させていただいております。 そちらをご覧いただくと血統と飼育技術・餌で出てくる結果も大きく変わっているという事実がご理解いただけるでしょう。 もはやHOPEIでは80mmUPは大きな壁ではなくなりました。 国産のオオクワガタではまだまだ高いハードルですがこの2、3年の製品の質と飼育技術の進歩には目を見張るものがあります。 飼育する人それぞれの価値観で変わってくるところはたくさんあるのでしょうが誰しも人に自慢できる、あるいは自分で納得できる結果を求めて飼育を続けているはずです。  ここでお話する“餌の違い”がもたらす結果は実際にはかなりの差が出ます。 次にお話する事柄は今年、新たに当方の商品(菌床)を使い始められた方のお話です。 別に当方の自慢をするために紹介するわけではないのですがこれくらいの違いがある、というお話です。

 この方は300匹以上の幼虫を飼育しておられます。 いろいろなところにも虫を卸しておられるほとんどプロの人ですが今年から知り合いの紹介で当方の菌床を使っていただいております。 その方には当方のKB800ppとBM1400ppをお使いいただいていますが、去年までと比べて1本目で3g以上、平均値が違うそうです。 これはオスの3令の2本目への交換におけるデータですがその方は非常に驚かれていました。 ある程度血統的背景の優れた虫を中心に飼育していらっしゃいますが、誕生する虫の質が良いと当然値段も高く売れるわけですから飼育にかかる餌代が多少高くてもこちらの方が良いとのことです。 当方にとってはライバルでもある方ですが、同業の方に誉めていただけるのはなかなかないことですので喜んでおります。 他にも新たに数多く使い始めていただいている方にも尋ねたりしていますが、おおむね途中経過は良好です。 

 ちょっと具体例を出してお話してみましたが、当方が飼育する幼虫だけではどうしても偏りが出ますので、大量にお使いいただいている方々には必ず途中経過をたずねることにしております。  大量飼育されている方はほぼ温度管理もされていますし、いろいろな系統の虫を飼育していらっしゃいますので、データとして信頼できるものになる傾向が強いからです。  800ppと1400ppは誰が使っても温度管理を行っていただければ同じような結果になるでしょう。 2ヶ月半で交換するとしてオスの3令幼虫は18gから26g位の間での交換になると思います。 また1400ppのほうでは27,8gあたりまでにはなるでしょう。 
 これまでにもよく話題に出しましたが、3本目が飼育する皆さんの腕の見せ所となります。 特に国産オオクワガタの大型血統を飼育する場合においては、3本目に入れる菌床はなるべくご自身の手で詰めていただいた方が良い結果となるでしょう。 毎年たくさんの方々が80mmUPを作られていますが、 90%以上の方はご自身でブロックを崩し、添加剤を配合したり、いろいろな工夫を加えて菌床をつくられ、結果を出されています。 既製品ではどうしても“もち”の点で手作りのものには勝てません。 詰める入れ物・配合するもの・詰め方、それらに工夫を加えてつくりじっくりと5、6ヶ月は熟成期間を経て羽化まで持ってゆくのが理想です。 
 ながながと書いてきましたが、飼育の大きなポイントをまとめると以上のようになります。 より具体的な内容はこれまでにも書いてきましたので、中級・上級者講座をもう一度ご覧いただくと詳細もわかっていただけるでしょう。  飼育する皆さんがそれぞれ工夫をこらしてより満足度の高い虫を作出できることを期待しております。  

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